2011年11月05日

SATA 3 対応SSDの威力とベンチソフトの落とし穴

今、Macの性能アップアイテムとして、一押しなのは間違いなくSSDと言って良いでしょう。装着前と後では、まるで別物のマシンの様にレスポンスが違います。

手っ取り早く性能アップを確認するのには、ベンチソフトが便利です。これまで、XbenchQuickBenchが定番でしたが、最近は表示の見やすさやディスク速度のみを表示するため、ドライブのベンチとしてはDisk Speed Testが人気のようです。

私も、しばらく前にMacBook Pro 15インチ Core i7 2.2GHz  Early 2011 のSSDを交換しましたので、ベンチテストを行ってみました。
交換前がRunCore 社の240GB SATA 2 SSD。交換後がSOLIDATA X8 SATA 3.0 480GB です。

ベンチソフトは、Disk Speed Test。最新版の2.1ではなく前のバージョンの2.0です。

交換前、RunCore SATA 2 (結果1)
RuncoreFW21

最大読み込み260MB/sec、最大書き込み248MB/sec。
これも、かなり高速でハードドライブから交換した際には感動したものです。

交換後、SOLIDATA X8 SATA 3.0 480GB (結果2)

SoliSATA3

最大読み込み506MB/sec、最大書き込み434MB/sec。
ハヤッ!ベンチが速いだけでなく、体感的にも、SATA 2 SSDより圧倒的にスピードアップ。言うことありません。

次はお客様から送っていただいたベンチ結果。
Mac mini Mid 2011にSOLIDATA X8 SATA 3.0 120GB (結果3)

DiskSpeedTest 5GB OWC 6G Pro

最大読み込み490MB/sec、最大書き込み447MB/sec。
こちらも速いです。

これらのSSDは、現在一部品切れしておりますが、来週には入荷予定です。

ところが最近、お客様より書き込み速度が遅いとのご指摘をいただきました。
そこで、私のマシンを改めて計測してみました。
ベンチソフトはこれまでのDisk Speed Test 2.0ではなく、最新版の2.1です。

SOLIDATA X8 SATA 3.0 480GB (結果4)

SoliSATA3_21

最大読み込み498MB/sec、最大書き込み237MB/sec。
あれ!? 読み込みは遜色ないですが、書き込み速度はがた落ちです。

そこでXbenchを使って計測してみました。

01 PM

シーケンシャルの最大書き込み速度は、463MB/sec。SATA 3 SSDとしても優秀なスコアが出ています。

さて、Disk Speed Test の開発元Blackmagic Design Incによると、バージョン2.1の変更点が書かれています。それによると、SSDによっては圧縮機能を搭載している物があり、バージョン2.1より圧縮後のデーターサイズを計測するように変更し、これにより本当の転送速度を測れるようになったと言うことです。

上の実測値のデーターで当てはめると、
1秒間に、434MB(結果2より)の書き込みデーターを、237MB(結果4より)に圧縮して転送、書き込みしていることになります。
どっちで表示するのが正しいのか?
ベンチソフトというのは、あくまである一条件での性能表示に他なりませんので、どちらが正解と断定することはできません。
性能と言う観点で考えると、毎秒434MBのデーターを処理していることになるわけですから、性能の指標となるのはこちらの数字だと思います。

そもそも圧縮機能というのは、性能アップのために搭載されています。SOLIDATA X8 SSDにはSandforceコントローラーが搭載されていますが、圧縮機能をコントローラーに内蔵し性能を高めているのが売りの一つです。
データーの元のサイズで、1秒当たりどれだけの量送れるかというのがコンピューターとしての速度を表すので、圧縮前のサイズを表示するのが妥当では無いかと思います。
つまり、コンピューターとしての速度がどれだけ上がるかでは無く、技術的な意味でのディスク転送速度を表示しているわけです。

また、XbenchQuickBench、それからWindowsで標準的なATTO Benchでも、Disk Speed Test 2.0に近いスコアが出ますので、やはり圧縮前のサイズを表示しているものと思われます。横並びという意味でも、Disk Speed Test 2.1の表示は問題があると思います。


vintagecomp at 08:45│Comments(5)TrackBack(0)

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この記事へのコメント

1. Posted by yitoh3502215   2011年11月07日 12:33
vers. 2.0 と2.1の結果の違いに大変驚きました.

What's New in Version 2.1の説明文

Disk Speed Test will now measure the true speed of these SSD's so you know if they are suitable for high quality uncompressed video capture.

にあるuncompressed video captureとはどのような処理を指すのでしょうか.

一瞬,SSD はハードウェア圧縮をして書き込みをしているのかと思い,HD上のデータをSSDにコピーしましたが,データの大きさは(当然)同じでした.まさか,実際はコンパクトに格納しているのにそれを展開した時の大きさとして表示しているとも思えません.「圧縮機能」についてもっと勉強しないと理解できない事かも知れませんね..

いずれにしましても,HDからの起動に対してSSDからのそれは大げさに言えば10倍近く速いと感じています.
2. Posted by Muto@VC   2011年11月08日 07:23
圧縮機能については、英語ですが、こちらに詳しく解説されています。

http://bit.ly/iL6Vte (11/9訂正)

これを読むと、yitoh3502215様の想像の通り、圧縮して書き込みされているのですが、元のサイズで表示されるよう工夫されています。
What's New in Version 2.1の説明文通りとすると、高品位非圧縮ビデオキャプチャでは、この圧縮機能がうまく働かないため、2.1の表示方法の方が性能の指標として適していると言うことのようです。
逆に言うと、それ以外の書き込みにおいては、2.0の方が適しているように思われます。
3. Posted by yitoh3502215   2011年11月08日 11:20
非常に興味深い事実をご教示下さり,感謝します.
参考にすべきサイトのURL では文献まで辿れないようですので再度御掲示下さい.

圧縮データが書き込みに用いられているという事は,SDD に表示されている容量以上のデータを書き込む事ができるかもしれない,という事を意味するのでしょうか.物理的なセル数が表示容量以下ということは無いでしょうし..圧縮以前の容量が表示容量を超えた時点でエラーを返すのかも知れませんね.
4. Posted by Muto@VC   2011年11月09日 04:03
リンク間違い失礼しました。上記訂正しました。以下は、非短縮で。

http://www.enterprisestorageforum.com/technology/features/article.php/3930601/Real-Time-Data-Compressions-Impact-on--SSD-Throughput-Capability-.htm

> 圧縮データが書き込みに用いられているという事は,SDD に表示されている容量以上のデータを書き込む事ができるかもしれない,という事を意味するのでしょうか.

Sandforceコントローラーとしては、容量通りとなるように設計されているそうです。
この技術の応用で、そのような製品が今後出てくる可能性もあるかもしれません。
5. Posted by yitoh3502215   2011年11月09日 12:27
度々のご教示,ありがとうございました.

コンピュータ内のパーツそのものがマイコン制御(死語です)になっているらしい事は知っていましたが,ここまで来ているとは想像もしませんでした.SSDの転送速度も,確かに通常のやり方では出せないものでしょうね..

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