2016年08月20日

Apple IIとApple II Plus

 先日のYoutube Chanelでも取り上げたApple IIとApple II Plus。色々と調べましたので、ここでまとめておきたいと思います。
過去に何度か、PlusではないApple IIを販売していますが、「この仕様はおかしい。Apple IIの皮を被ったplusだ。」といったご指摘を頂くことがあります。

Apple IIは1977年発売。後継のApple II Plusは1979年発売です。とりわけApple IIは、コンピューター史上大変重要なマシンです。それ以前にApple 1がありましたが、これはガレージカンパニー時代の製品。しかも、基盤のみの製品です。Apple社初の本格的製品といえば、間違いなくApple IIでしょう。それだけに、ネット上にもスペックに関する情報も多いです。しかし、このほとんどは発売時のスペックです。 IIとPlusの違いで、以下のように言われることがあります。

Apple II
1. ROMはInteger Basic
2. 電源ONでリセットされず、ユーザーによるリセットが必要。
3. オートスタートしない。
4. キーボードのパワーランプはキートップ形状
5. ボディの角が丸みを帯びている

Apple II Plus
1.  ROMはApplesoft Basic
2. 起動時は自動的にリセット
3. 起動時はオートスタート。FDがセットされていればフロッピーから、セットされていなければApplesoft Basicが立ちあがる。
4. キーボードのパワーランプはフラット形状
5. ボディの角はIIよりも丸みが少ない。

Apple IIのロジックボード Revisionですが、以下があります。

Rev. 0 発売時のRevision。生産台数は約6000台で超レア。
Rev. 1 Rev. 0より大幅変更。オートリセットに対応。メモリーブロックがソケットになり、4kb, 16kbのメモリチップをユーザーが選択して変更可能に。
Rev. 2 小変更?
Rev. 3 小変更?
Rev. 4 メモリーブロックは16K用が半田付けされ、事実上固定に。
Rev. 7 メモリーブロック廃止。16K専用に。

Apple II Plusでは、主にRev. 4, Rev. 7,  RFI のRevisionがあります。ごく初期のApple II PlusにはRev. 3が採用されたという情報もあります。

上記は、発売時のスペックとしては正しいですが、Apple IIは1981年まで販売されていたロンクセラーです。そのため、多数のRevisionがあります。特にApple II Plus発売後は、共通化が図られています。

まず、Integer BasicかApplesoft Basicかですが、Integer BasicはApple IIの生みの親ウォッズ自身が書いたソフトです。浮動小数点が扱えません(つまり整数しか使えない)が、この要望はかなり強かったようです。それを可能にしたのがApplesoft Basic。浮動小数点の扱いが可能です。これはMicrosoft からライセンスを受けています。このためライセンス料がかかってしまう欠点はありますが、Applesoft Basicの方が高機能です。過去のソフト資産のためという需要はあったと思いますが、基本的にApplesoft Basicの方が好まれたはずです。

また、もう一つキーとなるのがDisk IIです。Apple II発売時は、フロッピードライブは使えず、自分でプログラムを打ち込むか、カセットテープから読み込む必要がありました。カセットテープから読み込む、書き込むのは、手打ちよりはるかにましですが、決して快適とは言えません。それを解決したのが1979年発売のDisk IIです。これによって、Apple IIのセールスは飛躍的に増大したと思われます。

そうなると、オートスタートしないApple II発売時の仕様は不便でしかありません。自ずと、Applesoft Basicとオートスタートが標準的になっていったと思います。
この辺り、正確な資料が見つけられませんが、Apple II Plusと併売されたRev. 4以降は、Applesoft Basicにオートスタートの仕様が標準的になっていたようです。もしかすると、購入時に選べた可能性はありますが、多くのユーザーはApplesoft Basicにオートスタートの仕様を選択したと思われます。
他の違いも、Apple II Plus発売までに共通化されているようです。

こうなると、後期型のApple IIとApple II Plusの違いは何かと疑問が湧いてきます。もちろん、エンブレムと底面ラベルの表示は異なりますが、それ以外の違いは何だろうと。
オプションの違いなどあったかもしれませんが、実質的な差はメモリー容量ではなかったかと思います。後期 Apple IIの底面のラベルには、16KB、32KB、48KBのモデルナンバーが付いています。しかし、これまで確認した限り、ほとんどが16KBです。対してApple II Plusはほとんどが48KBです。
この容量の違いが、標準的なモデルの実質的な違いではなかったかと思います。ただし、16KBでは動作しないフロッピー供給のソフトも多いため、多くのApple IIは48KBまたはLanguage Cardを使って64KBまで拡張されています。

かなり長々と書いてしまいましたが、結論は、Apple II Plusと併売されていた後期型のApple IIは、外観の違いのみで、ほとんどPlusと同じというのが私の結論です。
ただ、外観やモデルナンバーがApple IIであること、ROMの差し替えやROMカードの使用により、発売時のApple IIの動作環境をほとんど再現可能なことから、やはり貴重なマシンなことに変わりはないと思います。
やはりRev. 0のApple IIが良いという方も多いと思いますが、大変にレアです。通常の取引価格は、100万円を下ることはないようです。後期型もやはり貴重な歴史的一台だと思います。

AppleII1-1














Apple II 後期型 with Disk II Drive 99,800円


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この記事へのコメント

1. Posted by sckop   2016年08月21日 19:02
「Apple II Plusと併売されていた後期型のApple IIは、外観の違いのみで、ほとんどPlusと同じ」と言うのはプロとしてちょっと見識が浅すぎるのではないでしょうか。

因みにコメント先のApple II 後期型 with Disk II Driveは後期型のApple IIに間違いないと思いますが前の持ち主がROMをApple II plusから移植されたのではないかと想像します。
2. Posted by Muto@VC   2016年08月22日 10:38
通説を覆すものですので、ご批判は覚悟の上です。調べていくうちに、通説は必ずしも正しくないのではと考えこのエントリーを掲載しました。この内容も、必ず正しいとは思っていません。ご指摘いただくことでさらに情報が集まり、真相に迫れればと思っています。

ROM仕様については、以下の情報があります。

http://www.appleii-box.de/H000_Chipsets.htm

Apple IIは、Early Integer Version(初期のInteger版)とlater Applesoft Version(後期Applesoft版)の二つが掲載されています。341-0001〜0004はInteger BasicのROM、341-0011~0015はApplesoft BasicのROM、341-0020はAutoStartのROMです。
later Applesoft Versionは、Apple II PlusのROMと全く同じです。

また、以下にはいつの時期のどのシリアルナンバーにどのRevisionのロジックボードが搭載されていたかが記載されています。

http://www.techtalkz.com/apple/187741-apple-ii-iiplus-production-dates.html

II, II PlusともにRev. 4、Rev. 7が共通して使用されていることが記載されています。

文字数の関係で、続きます。
3. Posted by Muto@VC   2016年08月22日 10:38
これらの情報が必ずしも正しいとは限りませんが、具体的な内容もありある程度信憑性が高いのではないかと考えています。また、Applesoft BasicやDisk IIがリリースされた状況で、初期の一般的には不便な仕様のままでApple IIが販売され続けるのには疑問が残り、これらの情報が正しいのではと思える一因となりました。
またこの時期のApple IIを何台も見ていますが、いずれもII Plusと同じApplesoft Basicでした。ユーザーがアップグレードした可能性は十分ありますが、それでも一台もInteger Basic仕様がないのも不思議です。

メモリの違い程度で実質同じ仕様のマシンを、別の製品名で販売するのはおかしいのではないかという批判もあると思います。
これについては、 II Plusをメインで販売しつつ廉価版を設定するために敢えてそうしたことも考えられます。
また、 II PlusはApplesoft Basicのみ、IIは両方を選べたことも考えられます。両方選べた場合は、大きな価格差がなければほとんどのユーザーはApplesoft Basicを選択したのではないかと思います。

以上、推察、想像を含みますので、必ずしも正しいとは限りませんが、ある程度の根拠はあると思います。

sckop 様の正しいとお考えの仕様と、情報元や根拠を示していただければ幸いです。
4. Posted by Sckop   2016年09月20日 11:18
反証はいたしません、と言うか私には出来ません。

以下のURLの一番上の表を元にしていらっしゃるようですが、II+の所にも間違いが見受けられますし、表を信じるか信じないかの話なので武藤さんはご信じになる、私はちょっと脚注に「未だ未完成」と有るように間違いかなと思っています。

http://www.appleii-box.de/H000_Chipsets.htm

 この表の元になったデータが何処かに有ると良いのですが。このApple II、おっしゃるとおりDisk IIの関係で非常に使いにくい物になると思いますがROMをINT BASICに戻せば売れると思います。

 Rev.7のロジックボードが共通に使われていたことは承知しています。わざわざ別にする必要は有りませんからね。引用されたURLにもそのように書かれていると思います。
5. Posted by Muto@VC   2016年09月20日 12:52
おっしゃる通り、II Plusの部分に間違いが見られますし、後の時代に個人的に集めた情報をまとめたものだと思いますので、参考にはなりますが確証にはなりません。
やはり、当時の情報で確認したいところです。と思っていたところ、有力な情報を発見しました。
How to use your Apple II in 10 easy lessons という、ハウツーのVHSビデオです。商用タイトルのApple IIとII Plusの解説ビデオです。以前から持っていたものですが、最近改めて見直しました。30年以上前のビデオなので、画質がひどい。
Basicの章では、Integer BasicとApplesoft Basicの両方を解説していますが、そこで
「Apple II PlusにはApplesoft Basicが、スタンダード Apple IIにはInteger BasicまたはApplesoft Basicが搭載されています。」
と解説されています。これはかなり有力な証拠になると思っています。折を見て、この部分のビデオを公開したいと思います。
Integer BasicのROMは持っていますので、交換は可能ですが、初期Apple IIに見せかけるための変更とも思えてしまいますし、私としては後期型Apple II オリジナルにこだわりたいと思います。

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