2012年09月05日

「僕がアップルで学んだこと」を読了

この本の著者は、アップルのシニアマネージャーまで務めた松井博氏。

発売以来、ずっと読みたいと思っていたのですが、米国在住者としてはすぐには購入できなかったのです。近所に日系の本屋さんもありますが、その本屋さんには置いてありませんでした。注文することも可能ですが1ヶ月ほどかかり、その間に電子ブックの販売が始まりそうな気がして、見送っていました。
やっと、紀伊國屋のKinoppyでの電子ブックの販売が始まり、読むこととができました。海外在住者にとって、電子ブックは本当に助かります。

アップルの内幕とアップルがなぜこれほど革新的な製品を出し続けることができるのか、という内容だろうと思っていましたが、そう言う部分は限られていました。
先が見えないと言われるこれからの時代、どうやって生きていけば良いのか、アップルの経験を元にした経営やライフスタイルの指南書というのが主題と言って良いと思います。

正直、アメリカでビジネスと生活を行っている身としては、なるほどとは思っても、それほど意外性や新鮮味は感じられませんでした。しかし、アメリカから日本を見ていると、常々感じていたことでもあります。日本で、何かを変えたいと思っている方には、お薦めの一冊です。

さて、Vintage Macの専門家を自認する私としては、ちょっと見逃せない部分がありました。暗黒時代のアップルの駄目な製品例として、Performa 6400が挙げられていました。

220px-Performa_6400

以下、引用。

「ADBポートが1つしかなかったため、例えばモデムとプリンターを同時に繋いでおくと言ったごく普通の使い方さえできなかったのです。」

まず、明かな間違いが一点。ADBポートは、キーボードやマウスの接続ポートで、モデムやプリンターを繋ぐのはシリアルポートです。これは単純なミスだと思いますし、古くからのMacユーザーなら皆さん気がつくところ。既に、指摘を多々受けていると思います。

それから、後半部分もおかしいです。確かにPerforma 6400にはぱっと見、シリアルポートが1つしか無いように見えます。しかし、実際には2つあり、その内1つに蓋がしてあります。
なぜこうなっているかというと、Performa 6400には標準でCS II スロットに内蔵モデムが装備されていたためです。これは回路的には、シリアルポートを1つ占有しているので、内蔵モデムが付いていると、シリアルポートが1つ使えないためなのです。とは言え、内蔵モデムとプリンターを同時に使う事は可能でした。また、内蔵モデムを取り外し、シリアルポートの蓋を取り外せば他のMac同様、2つシリアルポートにモデムとプリンターを同時に繋いでおくことはできたのです。

後半部分は、アップルで当時業務を担当されていた方としては、考えにくい間違いだと思います。逆に言うと、当時それほどまでにアップル社内が混乱していた証でしょうか。


vintagecomp at 06:36│Comments(2)TrackBack(0)Apple Topics 

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この記事へのコメント

1. Posted by kazu   2012年09月05日 20:35
Performa 6400懐かしいです。
確かにデザインも不評だったしダメダメマシンだったかもしれませんが、個人的には好きでけっこう長く使いましたよ。
G3カードさしたり、いろいろ楽しかったなぁ。
あの頃から考えると今のAppleはウソみたいですね(笑)
2. Posted by Muto@VC   2012年09月06日 06:04
私も好きだったマシンです。今見ても、結構格好良いと思います。
Gazelle 300MHz のロジックボードを入れたり、G3カードを入れたり。また、ほとんど使われることのない、最上段のZIPドライブベイなや意味不明のスロットもたくさんあって、楽しめるマシンでした。

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